AIZEN NEWS

AI企業が「廃業スタートアップ」のデータを購入、モデル訓練用に需要拡大

2026.10.13 ・ MIT Technology Review
AIZEN NEWS編集部の要点整理

暗号資産スタートアップを今年たたみ始めたキーラン・ミスケル氏は、同社のデータにはさほど価値がないと考えていた。ユーザーは匿名で、会社の設立も数年前だったためだ。ところが、その後に社内のデジタル資料を売却して実際の収入を得ることになった。コードベースの売却だけでおよそ2万5,000ドルを受け取り、別の取引についても金額が未確定のまま支払いを待っている状態だという。見出しによれば、AIラボが閉鎖したスタートアップからデータを買い取り、自社モデルの訓練に使う動きが出ている。

生成AIの性能向上には大量かつ質の高い学習データが欠かせない。ただ、公開ウェブ上のテキストは使い尽くされつつあるとの指摘があり、各社は未公開で独自性のあるデータを求めている。ソースコード、社内文書、業務のやり取りの記録などは、実際の開発や業務の流れを反映しているため、AIにとって有用な素材になり得る。一方、廃業する企業にとっては、清算の過程で残った資料が思わぬ収入源になる。ミスケル氏の例は、価値がないと思われていたデータにも市場があることを示している。ただし、こうした売買には、顧客情報の扱いや著作権、ライセンス、元従業員や利用者の同意といった論点が付きまとう。匿名のユーザーデータであっても、個人情報保護の観点から慎重な確認が必要になる。

AIラボのデータ調達は、ウェブのクロールやライセンス契約だけでなく、倒産・廃業企業の資産売却にまで広がりつつあると考えられる。今後、スタートアップの清算時にデータの売却を仲介する事業者や、価格付けの基準が整う可能性がある。同時に、データの出所の確認、利用許諾、プライバシー保護をどう担保するかが、取引する側にも買い手のAI企業にも問われるだろう。データの希少性が高まるほど、規制当局や権利者からの監視も強まるとみられる。

関連カテゴリ
関連記事(生成AI)